ラグビーW杯イングランド大会

ラグビーW杯イングランド大会は優勝候補の筆頭に挙げられていたニュージーランド代表オールブラックスの優勝で幕を閉じた。
オールブラックスは、主将のFLマコウやSOカーター等の百戦錬磨の選手を中心に攻守にバランスがとれ、他のチームに比べレベルが一枚も二枚も上の実力を持っていて、順当な優勝であったと言える。
 
その中で、特筆すべきは日本チームの活躍であった。 日本は1987年の第一回大会から8回連続出場の常連ではあるが、この大会で過去通算1勝21敗2分と力の差を見せつけられてきた。 しかし今回は初戦の強豪南アフリカに競り勝ち世界を驚かせ、その後スコットランドには敗れたものの続くサモア、米国に勝利し、3勝1敗の好成績を収めた。 その南アフリカ戦の最後のトライの場面は今大会で最も印象に残る場面に選出された。
 
誰も予想しえなかったこの日本チームの活躍は、HCのエディ・ジョーンズの存在抜きには語れないだろう。
彼は、日本に来る前に第5回大会でオーストラリアチームを率いて準優勝した経験を有し、来日後はトップリーグサントリーのHCに就任し、それまで優勝争いに加わるものの後一歩優勝に届かないチームをトップリーグの優勝常連チームにレベルアップさせた能力の高い監督である。
 
そのエディ・ジョーンズが目指したのは日本人の体格にあった戦術であった。 最近の日本人の体格は一昔前に比べれば大きくなったとは言え、欧州やオーストラリア、ニュージーランドの国々の人に比べまだ小さい。
そこでエディが採用したのは、小さい体格を利用した低いスクラムでFW9人の力を効率よく使うことと、グラウンド上の球の奪い合いの後相手選手より短い時間で起き上がりラインに戻ることであった。
 
今大会の試合を通してこの戦術は的中し、これまで体力で圧倒されていたサモアや米国に勝利することができたと言える。 今回の日本チームの活躍は日本中で話題になり、大勢のラグビーファンが生まれた。
特に、五郎丸選手のキックポーズもあり、それまであまり関心を寄せなかった女性や子供にまでファン層が広がった事は喜ばしい状況である。 次のW杯は東京オリンピックの前年 2019年に日本で開催される。 それまで健康を保ち、ぜひ試合会場に足を運ぼうと思っている。